サプライチェーンの川上と川下
以前、サプライチェーン・マネジメント(SCM)を学ぶ講座に通っていました。
講座の中で、「SCMを阻害する要因と、その解決策は何か」という課題が出ました。
通っていたメンバーと、その課題について議論し、自動車業界を例に取って発表を行いました。
自動車メーカーは、完成品メーカー(トヨタや日産、ホンダなど)を頂点に、高度なサプライチェーン網が築かれています。
しかし、自動車メーカーのサプライチェーンにおいても、SCMがすべて問題なく運用されているかというと、そういうわけでもありません。
完成品メーカー→1次部品メーカー→2次部品メーカー→3次部品メーカー→……、
と、下請重層構造になっているので、そこでの生産管理や在庫管理、また物流においては多くの問題があるのです。
課題の発表の中で、我々は、
『“川上”である完成品メーカーから、“川下”の部品メーカーに情報がうまく流れていない』といったようなことを報告しました。
すると、指導教官の教授から、
『完成品メーカーは“川下”で、部品メーカーが“川上”ではないのか』という指摘がありました。
我々はその指摘に少したじろぎましたが、
『物の流れでは完成品メーカーは“川下”になるが、情報の流れでは“川上”になると思います』と答えました。
サプライチェーンにおける“川上”と“川下”。
物の流れとしては、素材メーカーが川上で、完成品を作るメーカー(あるいは販売店や消費者)が川下になるというのが常識。
我々は、その常識の逆を言ったために、教授から指摘を受けたわけです。
しかし、情報の流れで見た場合、完成品メーカー(販売店・消費者)が川上で、そこから遡った素材メーカーが川下になる。
我々の発表は、それを前提としたものでした。
どちらが川上で、どちらが川下になるかは、物と情報の流れによって異なる。
というのが、その時の回答です。